コンサルタントの眼

第8回 「時間がない」という言い訳

~ この言葉から見れる、その人の仕事の仕方 ~

by 山田 晴美


 ビジネスの世界では様々な"言い訳"を耳にします。
特に「できない」という理由はいくらでも出てきます。
「時間がない」「忙しい」「経験がない」「想定外です」等など。 これらは典型的な "言い訳" にすぎません。
できない理由、やれない理由を、廻りの環境であったり、会社の仕組みであったり、他人に責任を転嫁しているだけに過ぎないのです。
よくよく考えれば、 "自分" の問題もかなりあるはずです。
問題なのは、よくよく自分を考える、省みることなく、やらない理由を並べたてていることです。

では、管理的立場にたつ人間が、「時間がない」と発言する部下をどう”見る”べきでしょうか。

「ここ数日緊急案件が発生していたのは事実だな」
「抱えている案件も確かに多い」

このような部下の背景も考慮の上、

「催促はするが、イライラはするが、少しばかり待ってみよう」

などと温情が働くのが人間です。


しかし、ここで一つ大事な選択をしてください。
それは、「時間がない・忙しい」という言い訳を、部下は既に何度も言ったことがあるのか、否か。 今回初めて聞く言葉であるのか、そういえばあの時もそうだったと思い当たる件があったかどうか。

もし、既に何度も「時間がない」という言い訳を聞いているなら、部下に更に時間を与えても、彼はやりません。
時間を作るあらゆる努力も、しません。
彼は「時間がない」と言った事で、やらなければいけない事案から既に心は解放されています。

「2日待つ事にしよう」

と待った管理者の立場の方は、2日後部下から同じセリフを聞くことになります。

「忙しくて、時間がなかったんです」


これはなぜでしょうか?
部下にとって、依頼された事案は「重要度が低い」と認識し、態度で示しているのです。無意識に。
この無意識が恐ろしい事なのです。


子供の時、食事の食べ方で母親に注意をされたら、

「大丈夫。外ではきちんとできるから」

と答えた事、ありませんか? そして、どうでしたか? 外できちんとできましたか?
何らかのタイミングで、しまったやってしまった!という経験ありませんか。

そうです。
家でできない事は、外でもできません。
社内でできない事も、社外ではできません。
重要度が低いと無意識に認識し「時間がない」と表現した言い訳は、顧客に対しても行っているのです。 それが、顧客が離れていく理由の大きな1つになるのです。

「忙しくて時間が無い」
という言い訳の繰り返しは、物事に優先順位を付けず、手当たり次第に場当たり業務を行っている証拠でもあります。
つまり、計画性もなく「今目の前の仕事」を単に作業として消化しているに過ぎないということです。
当然 PDCA を回す観点も欠如した仕事スタイルの繰り返しをしているだけなのです。
時間がないと言った瞬間に、その愚かさを自分で証明しているのです。

この言い訳を何度も繰り返す人の仕事の仕方を、管理的立場に立たれる方はしっかり見つめてください。 時間を作れ、きちんとやれ、という指導では何も解決しないのです。
無計画な場当たり的な仕事の"やり方"、"考え方" から、指導し直す必要があるのです。
時を活かしてない人は、知恵を活かしていないという事です。
そして、部下本人がそれをいち早く気付く事ができる組織・チームの文化を築きあげなくてはならないのです。


2015/4/7
山田 晴美
    システムベンター勤務後、システム開発現場、プロジェクトマネジメント/コンサルティング分野を専門とする。 自ら立てた戦略を戦術、戦法に具体的にブレイクダウン(WBS)し、実際に現場を率いて実践する。実戦型独自のスタイルを持つ。体育会系。
    アトリエ イシカワ コンサルタント

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