コンサルタントの眼

第7回 「知っている事と、できる事の違い」

~知識メタボにならず、ゼロから1を生みだす為に~

by 山田 晴美


 肥満・高脂血症・高血糖症(糖尿病)・高血圧、これらが複合した状態を「メタボリック症候群」といいます。 このメタボリック症候群と呼ばれる人をイメージして、印象を並べてみてください。

・おなかまわりが、少々大きい
・脂肪をため込んでいる
・代謝が悪い?
・循環が悪い?

そんな感じでしょうか。

 実は、”知識”も同じなのです。
社内外研修、書物、雑誌、講義・セミナー、ネットでの情報など、ありとあらゆる"情報"が手に入りやすい時代です。 それらの溢れる情報により、知らなかった事も即座に「知っている」と思えるようになりました。 さらにその情報に個々の分析と経験値が組み合わさり、各々の"知識"として蓄積されていきます。
では、それらの知識が一体どのレベルに位置するのか、考えてみてください。

Level 1   知っている
Level 2   理解している
Level 3   実行した
Level 4   できる
Level 5   習熟している

Level3で「Yes!」と自信持って答える方は、Level2でYesと答えた方より、ぐっと減ります。
Level4になるとまた減ります。Level5に至ると、ほとんどいなくなります。
「知っている」そこで満足し、思考が終わっている証拠です。

「知っている」というのは、単なる"情報"を手に入れただけの状態です。
まだ"知識"には至っていません。
"知識"として蓄積するためには、考え理解し(Level2)、実行(Level3)しなくては、"知識"という"技術"になりません。 実行し、予想通りの結果にならなかったり、さらに原因を考え対策を繰り返しながら、できるというLevel4に到達するわけです。
「知っている事」と「できる事」は大いに違うのです。

便利さゆえに手に入る膨大な"情報"を得、ためこむだけになっていませんか?
脂肪を身体にためこんでしまったメタボリック症候群のように、『知識メタボ』になっていませんか?

世の中には多くの手法、攻略法が氾濫しています。
手法を学ぶ事は大事な事です。
ですが、学ぶ事以上に大切なのが、
「やってみる。実行してみる。できるようになる」です。
これで初めて、ゼロから1を生みだす、技術力につながるのです。
「知っている」だけから生まれるものは、ゼロから生みだすものではなく模倣です。
再度、ものづくり日本、ゼロから生みだす力のある日本を目指すには『脱知識メタボ』です!


2014/10/15
山田 晴美
    システムベンター勤務後、システム開発現場、プロジェクトマネジメント/コンサルティング分野を専門とする。 自ら立てた戦略を戦術、戦法に具体的にブレイクダウン(WBS)し、実際に現場を率いて実践する。実戦型独自のスタイルを持つ。体育会系。
    アトリエ イシカワ コンサルタント